祝福権を巡る闘い

ムハンマド(マホメット)が最初に天啓を受けたのは
40歳ぐらいの時だといいますが、それまでに彼が何をしていたのか
あるいはどのような職業についていたのか正確には誰にも分からないようです


彼の死後、信仰に燃えた信者たちはそうしたムハンマドに対して
理想的な預言者像を膨らませ生誕も含めて神秘的な伝説を作っていったようです


例えば生まれる前から彼の家族は不思議な啓示を受けていたと伝承が造られ
母のアミ―ナは「私の胎から生まれる子供は人類を救う預言者となる」
という声を聴いたという話や幼児が生まれるや否や既に清浄無垢にして
一点の曇りもなく、その名声は当時の町々に瞬く間に広がっていったという具合です


ところがムハンマド自身は神の前に自分は一人の人間であるということを
強調し神格化されることを極力戒めていたというのですからなかなかのものです。


アラビア半島はもともと血統を中心とした部族主義の世界でした
血のつながりによる血縁関係が人と人を結ぶ重要な紐体であり
社会の統一性は血統の共通性によって保たれていたのです


皮肉なことにその血統中心主義を打ち破ったのが
他でもないムハンマドだったのです
「アラーこそが唯一の神であり、ムハンマドは神の使徒である」
誰もがこの信仰告白をすれば全てイスラム教徒として受容したのです。


血筋の高貴さが人間の価値を決めるのではなく
人間の高貴さはただ一つ、信仰(霊の交わり)の深さであるとして
それまでの血統による繋がりではなく信仰(霊統)による共通性を認め
それを人と人を結ぶ正当な統合原理として樹立したのです


これがイスラム教を普遍的な世界宗教に発展させることになり
人種も部族も白人も黒人もアラーの神を信じることを表明すれば
同じ信徒として平等に受け入れることとなったのです
キリスト教もその意味では全く同じ立場で信仰による兄弟の大切さを教えたが故に
普遍性を手に入れることができたのです


統一運動の難しいところは
個人の信仰から家庭における結婚に人間の価値を置いたのです
それを祝福と呼び祝福は同じ血統圏の中で受けなければならない
というある種の純粋血統主義のような考え方が主流となっています


二世同士の祝福を受けずに社会結婚した若者は
相手が違う宗教を信じていたり
教義に関心が無い場合は神の認めない結婚として扱うので
組織から離脱する二世も増えてくるのです


聖酒を飲み祝福を受けなければ救われないという教義は
血統主義の拡大とそれを守ることに一義的な意味を見いだすのでしょうが
そうならなかった祝福家庭は葛藤を抱えたまま
既成祝福を受けるか恩赦を待つようになるのでしょうが
こうした問題点はこの祝福運動の底辺に渦巻いているのです


イスラム圏やキリスト教圏へと超宗教的な観点からの祝福が
敢行されていますが今までのような純粋培養された血統主義のような
限定された枠内では治めきれない状況が今後はますます現出してくるはずです


話を元に戻すとイランを中心とした紛争の原因は単にイスラエルとの対立だけではなく
問題の本質に同じイスラム圏での血統を巡る宗派対立があることは余り知られていません


サウジアラビアを始めとして世界のイスラム圏の
85%以上を占めているのがスンニ派だと言われます
一方イランを中心とする少数派がシーア派です
この両派の違いは後継者に関する考えの相違からきているのです


スンニ派の後継者は信仰によって選ばれるのに対して
シーア派は血統主義なのです


純粋血統圏の拡大を二世三世同士の中に限定すればするほど
祝福の拡大によって必ずやその枠から外れてくる人達がでてきます
初期の祝福は確かに厳格でした
祝福を受けるべき条件を満たしているかどうかが問われ
また祝福を受けても7年間の分別期間があったのです


聖酒をキャンデーに混ぜて万人に飲ませる摂理が始まると
古参の家庭からは祝福の価値を減ずるものとしてその真意を含めて
批判が起こりました
確かにそれは一理あって、聖酒の意義や価値が分からなければ
祝福をいとも簡単に破棄する人も出てくるからでしょう


こうした儀式は全て内面を復帰する為の条件なのでしょうが
教祖が他界して以来、祝福権の継承は真の家庭を中心に
派閥抗争のようにその正統性を巡って争っています


「今回の3億6000万双の祝福が終われば、レバレント・ムーンは祝福してあげません
その次からは、自分の父と母に祝福してもらいなさい。これを第四次アダム圏解放時代と
言います。蕩減がありません。一次、二次において、旧約時代はアダムが失敗、新約時代もアダムが失敗、成約時代も迫害を受けながら来ましたが、今からは解放圏に入って行き、
堕落していない本然の世界となり、第四次アダム圏時代に入って行くので、
堕落していない父母が息子、娘を祝福してあげるのです・・・・ですから
父母が祝福してあげるのです。その父母が、真の父母に代わりの立場に立つのです。」
1998.2.8祝福家庭の摂理的意義 第四次アダム圏時代


「第一次アダム、第二次アダム、第三次アダムの代身家庭になることによって
神様に侍るようになり、万民が天国に直行できるようになるのです。そのようになることによって第四次アダム圏解放の祝福時代に入るのです。
第四アダムの時代が確定されれば、祝福二世たちは親が直接祝福してあげる時代が開かれるのです」  真の神様と祖国光復


神の心情世界は霊的な世界です
霊界は生物学的な肉体を持って生きる世界ではないので
本来は神の血統と言うより神の霊統と表現したほうが的確なような気もします
なぜなら霊統であれば心情によって引き継ぐことが可能となるからです


問題はその祝福権は真の父母だけが持つことが出来るものなのか
または文家の直系だけが持つ特権なのか
或いは全ての祝福家庭に与えられたものなのかが
明確ではないからです


イスラム圏における戦争の原因となった分裂は
血統主義と法統主義による後継者を巡る争いです
それは血で血を洗う深刻な戦争にまでつながっているのです


統一家の分裂も同じように後継者問題を巡る闘いです
上述したように祝福に対する多くのみ言は如何様にもとれるので
誰が正統で異端なのかの論議で結論を下すことは難しくなります


従って最後は「実を見て木を知る」こと以外に
正統性を実証することは出来ないと言う結論になってしまうのです
言い換えれば全ての祝福家庭も自分たちの実を見ることによって
教義の正統性を判断できるということでもあります
祝福権の所在は真の家庭のみならず自分たちの問題でもあるからです

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