摂理の中心は米国?

設計図がないところに建築物を建てることが出来ないように
理想世界の具体的な設計図がない統一運動に理想社会を築くことは出来ません


統一思想の中で李相憲氏はこのように述べています


「その社会は必ず神の摂理によって到来する社会であり、善の社会であり、
このような社会を、天宙主義社会という。これは一言にして言えば、世界的規模での大家族主義社会のことを言う。その詳しい具体的な内容については、さらに一層の研究を経て、故にその統一思想要綱の続篇、政治経済篇として執筆の予定である」


残念ながら李相憲氏は具体的なビジョンを現実化する前に他界され
設計図は未だ完成することなく現在に至っています


資本主義が現在の世界の経済の主流であることは
共産主義国家のソ連が崩壊したことでも立証されました
中国では共産党が政治を掌握しているにも拘らずマルクス経済学ではなく
改革開放と称して市場経済を中心とする新たな国家資本主義を導入しています。


もともとマルクス主義経済理論は資本主義の内的矛盾を解き明かす
経済学として登場しました


社会は働く労働者とその労働によって生産されたモノから成り立つ世界です
マルクス的に言えば労働者は労働力を商品化してそれを売ることによって
賃金報酬の対価を得、資本家は労働力を商品として買うのですが
そこから得られた利潤は労働者に平等に分配されるのではなく
利益の多くは一部の資本家のみに供与されるという彼らの独占的な
富の増殖を肯定する搾取のシステムだということでした


資本家の莫大な利潤に関しての配分は近代では国が抑制機関となって
賃金アップの交渉権を認めたり、社会保障や社会福祉政策の向上に使われたり、
あるいは累進課税による税制の基準を設定していますが
それでも富める者と貧しい者との格差はなかなか縮まりません


統一グループ内での様々な事業も理想世界建設と世界一大家族理想と言う
目標があるにもかかわらず実際に自分たちの事業においてどのように
利潤を分配するかという具体性は一切ありません


李相憲先生が述べるまでもなく一大家族理想の共生共栄主義の組織運営や
分配に関する具体的な方策は残念ながらないのです


地上天国は従って現状の共産主義国家あるいは資本主義国家の
政治経済を踏襲しながら手探りで見つける以外にないのでしょう


神を中心とすれば全てが解決するという短絡的な信仰者は別として
こうしたビジョンのない空想的理想主義では
今後何年かけようとも世界に提示できる社会体制をみせることは出来ません
幹部は献金を主体とした組織運営しか経験がないので
一大家族理想実現と言う言葉だけが虚しく独り歩きを続けるばかりで
何年たっても同じような大会を開くだけの運動になっているのです


信仰とは酷いものです
こうした状態を蕩減として説明し
耐え忍ぶことを強要することが出来るからです


病気になったら蕩減、仕事がなければ蕩減
韓国に対しては主の国に対する蕩減
僕の僕から八段階の勝利基準を立てると王の位置に行くと教えられ
頂点に近くなったものはその位置に胡坐をかいて
僕の位置には降りてきません


本当の八段階は王の位置にいる者こそ僕の心情をもって
尽くすというのが神の原理なのでしょうが
階段を上がりっぱなしの指導者たちは
ひたすら組織維持の為に号令をかけるしかないのです


世界一大家族とは名ばかりで信徒には未だ還元するものが何一つありません
原理講論や統一思想の中に存在論的な説明はあったとしても
経済や経営に関する具体的な設計図は示されていないのです


韓鶴子総裁が国家を復帰しなさいと宣言しても
実際には何をどのようにしたら国家が復帰され
復帰された国家はどのような国の形なのか
提示できない現状に対して真剣に考える信徒は
閉塞感に苛まれるだけなのです


今も事あるごとに大会を開き
其のたびごとに指導者を招待しては晩餐会を開催していますが
この方法のどこに人類の平等や貧しい人たちの救いに繋がる政策が
あると言うのでしょうか?


人間の苦しみは貧困であり差別なのです
宗教の教えのひとつは苦しむ人達の解放でした
国家の権力者たちや贅沢をする富豪者たちを何人も招待し晩餐会を重ねても
彼らが貧しく苦しむ人たちの為に己の富を捧げることはありません


彼らが原理や真の父母を受け入れ共生できる理想世界を造る運動に
自分たちの富や財産を無償で分け与え身銭を切って参加しているのでしょうか?


真の改革はガンジーのように或いはキング牧師のように
庶民の中に身を置いた人間が増えない限り
国家の復帰は絵に描いた餅なのです


肉身の兄弟を殺害し、叔父を残虐な方法で粛清する
北の独裁者が独生女の前にひれ伏すと本当に思っているのでしょうか?
恐らく家庭連合の指導者の誰一人
実際にそうなるとは思っていないはずです


にも拘らずどこに行っても
同じような話を繰り返し国家復帰を唱える韓鶴子総裁は
何を実現しようとするのでしょうか?


形だけの430の名簿を必死になって作成している祝福家庭の皆さん
内的な摂理が分裂した結果なのか
国家間のアダム・エバの韓国と日本はますます悪化しています


本来なら日韓の親密な一体化が統一運動を中心に
両国民の間に起こるべきなのでしょうが
現状は収拾できない程、真逆の道を行っています


内的摂理の中心が分裂しているので外的な日韓関係も
同じように分裂していると見るのが正しい摂理観なのかも知れません


このままでいけば北朝鮮を中心とした南北統一が始まり
大混乱する韓国を残して韓鶴子総裁はアメリカに拠点を移すことでしょう
そして信徒に対しては「430の氏族メシアを勝利しなかったので
蕩減を受けたのです」と説明することになってしまいます


今や中国や北朝鮮に対して真剣に考えている国は米国しかありません
その米国の決意は中国共産主義の本格的な排除です
その為に自由主義を中心とした国家の統一戦線構築を図っています
英国、インド、オーストラリア、カナダ、ニュージーランドそして日本も
その統一戦線への支持を表明しています
しかし肝心の韓国は左翼思想の大統領が国の権力を握っているが故
未だ明確な方向を出せないでいるのです


長い間、韓国をアダム国家として位置付けていたのは
文師が摂理の中心だったからです
しかし、文師の逝去後、摂理の中心が長子にあるとすれば
新たな摂理の中心は長子のいる米国に移行しているとも考えられます


米国には今でもキリスト教の伝統が色濃く残り基本的にはキリスト教国家です
清平を中心とする実体の見えない天一国ではなく
具体的な神を中心とした国家が現実に存在していると言うことです


存外、第四次アダム圏の本格的な展開は米国を中心として展開され
世界一大家族理想のモデル国家は米国なのかも知れません

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