統一運動に欠けていること その2

その2


統一原理によれば理想世界は完成した一人の人間の人体機能に似ていると言います


「完成した人間によって実現される理想社会も、やはり完成した人間一人の構造と機能に似ているようになっているのである。人体の全ての器官が頭脳の命令によって起動するように、理想社会の全ての機関も神からの命令によってのみ営為されなければならない。また頭脳から来る全ての命令が脊髄を中心として末梢神経を通じて四肢五体に伝達されるように、神からの命令は脊髄に該当するキリストとキリストを中心とする末梢神経に該当する聖徒たちを通じて、社会全体に漏れなく及ばなければならない。理想社会における政党に該当する役割はキリストを中心とする聖徒たちが果たすようになっているのである」


人体が頭脳の命令によって作動するように理想世界の全ての機関も神からの命令によって営まれなければならないと書かれています。ここで強調されていることは頭脳に当たるのが神だと言うことです。
ところが統一運動ではこの頭脳の役割を真の父母に置いているので
父母からの命令を絶対的なものとして訓練されてきました。


嘗て統一思想を上梓された李相憲氏はこの上述した原理の見解を
より深く検証して神の指令系統には中枢神経と自律神経の
二つの流れがあると語られたことがあります


中枢神経は具体的な自分の意志で身体を動かすことですが
自律神経は我々の意識とは無関係に動きます
内臓の働きや血管等の動きは自律神経の働きです
また自律神経は交感神経と副交感神経との間でそれ自体で微妙なバランスを取り
意識的な中枢神経からの命令なしでも内臓等の機能はそれ自体で調整されています


経済を人体の神経系統で表せば計画経済が
中枢神経としての社会主義・共産主義経済となり
市場原理に任せる自由経済は自律神経となるのでしょう


まさにケインズの「神の見えざる手」とは独自で需給バランスがとれる
自律神経のことを言ったのかも知れません


一党独裁の共産党が指示する計画経済を
長期にわたって推し進めたソビエト連邦が崩壊したのは
個々の自律性を促す人間の本性を無視した結果であったことは
既に歴史的に証明されたことです


中国のしたたかさはこうしたソ連の偏った計画経済からの失敗を学び
新たな経済政策として人間の自律性を重んじる資本主義を導入したことは
実に刮目すべき点です
しかし、彼等の資本主義の本質はあくまでも共産党支配の
国家資本主義であることを忘れてはなりません


中国最大のIT企業のアリババの傘下の金融会社アント・グループが
上場寸前になって中国政府から独占禁止法に当たる嫌疑をかけられ
IOP(新規株式公開)を急遽延期されてしまいました


この中国の巨大ITグループのオンライン決済システム
「アリペイ」の利用者は中国人の七割に及んでいると言われます
中国共産党の懸念は国家の中枢機能である
金融を握られてしまう恐れからの決断ではなかったのか
と言われています


旧態依然とした国有銀行とAI技術を駆使したデジタル型金融システムでは
さすがの中国共産党幹部も勝ち目はないと認めたのでしょう
「反独占強化、資本の無秩序な拡張防止」が主な理由だったようです


社会主義政策を推進するためには国家の意向が反映する
国有企業が重要視されるのは当然のことなのですが
IT産業だけは国有化された企業よりグローバル化を推進した
民間企業の方が優位に立ってしまったのです
今回のIT 企業に関する警告は例え民間企業が世界的企業になったとしても
共産党の支配を超えることは絶対に許されないと言う共産党の本質を改めて
表明したようなものです
台湾や香港がどれ程自由を求めても党を批判することは決して許さないという
共産主義の本性がここに現れています


こうした中国の統治体制に対して
今までのような反共運動だけで果たして彼等に対抗することが
本当に出来るのでしょうか?


続く

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