１９７０年代に世界的に吹き荒れた学生運動は
授業料値上げ反対でも大学の授業をボイコットすることでもなく
その思想的バックグラウンドは
毛沢東思想でありマルクス・レーニン主義に根差した
理想的共同体としての共産主義国家への憧憬でした

当時その学生たちに読まれていた著作に
吉本隆明の「共同幻想論」
という本がありました

共同幻想と言う言葉の持つ響きに引き付けられたのか
全共闘世代は特別な感情を抱いて読んだそうです

吉本隆明は「社会は共同幻想によって、家族は対幻想によって形成される」と言います。
即ち集団の繋がりが共同の幻想によって成り立ち
対幻想は特定の二者のつながりのことを言います
その関係がどのように成立したのかを
彼は古代日本を例にとって分析しました

例えば現在の日本は民主制と言う共同幻想を共有し
統一グループで言えば真の父母を共同幻想として共有していると言う具合です

吉本が幻想と言ったのは共同で理想化する命題には
絶対的普遍性が現実にはないからだと言うことでしょう

神と言う絶対普遍的存在を中心として
自己を乗り越え家庭を乗り越え国家世界に普遍的に
浸透させる運動が統一運動です

そしてその中核が真の家庭なのですが
それが幻想ではないと言うことを証明するのが
この文脈に対する我々の応えであり
神の摂理の完成と捉えることが出来ます

文師が共産主義と対峙して勝共運動を行った背景には
左翼が実現できなかった理想の共同体に対する
強力なアンチテーゼとしての理想家庭への確信でした

今、論議されている独生子・独生女の目的も神の血統を継承する
絶対共同体の核となるべく理想家庭実現にあることは明白です

原理的には神の心情である血統はアダムを通してエバに伝わり
その男女を通して子女に相続されて血統圏の完成となるはずでした

原理講論は人間の罪の原因を指摘した堕落論と
それを贖う使命を持つメシアを迎える為の復帰摂理が
中心となっているがゆえ本然の創造原理では
その骨子が発表されているだけですが
後年、創造原理の中核に「四大心情圏」と「三大王権」が
あることが示されました

この二つの「四大心情圏」と「三大王権」が完成することによって
創造原理の本然の世界が顕現すると言うのが結論です

従って如何に独生子・独生女が生まれても子女との間にこの四大心情圏と
三大王権が完成し得ない限り神の本然の心情圏は地上に定着しないと言うことになります

真の母がご自身の子女様に対して「いつか悔い改めて戻って来るでしょう」
と言った簡単なことではなくサタンからすれば
「真の父母と言うのなら理想家庭を示すべきであり
もしそれが出来ないのなら偽りの父母である」と讒訴されるのです

共産主義者に実体化していない理想家庭の現状を隠して
「真の父母の勝利によってあなた方が出来なかった
理想の共同体の核を我々は完成した」と宣言すれば
彼らが認めるとでも思っているのでしょうか

全学連や共産主義運動の挫折は共同体の核が造れなかったからなのです
従って本当の国家復帰を考えているのなら
国家の中心になる真の家庭がバラバラになり
実の息子が母親をバビロンの淫婦として蔑み
聖和した父親と離縁させ他の女性と
霊的結婚をさせた現実をもっと真剣に且つ重く見るべきなのです

真の父母の勝利とは真の子女と一体化した
絶対理想共同体を家庭の上に実現したときに
与えられる称号なのではありませんか
加えて全世界の祝福家庭は真の父母の血統圏に生まれた
子女様たちと一つになることによって
拡大家族の子女の立場を与えられるはずなのです

実体の伴わない理想家庭を錦の旗のように掲げて
女王様の前にひれ伏す者は
まさに共同幻想の中に生きているのです

真の血統圏が既に相続され
二世や三世が生まれてきている現実を見るにつけ
摂理は確実に次世代に引き継がれているのです

子女様の家庭を中心に三大王権の確立こそが神の勝利の証であり
それを代表して示すのが真の父母の立場であるにもかかわらず
ご自身の独生女を持ち出すことは摂理の退行以外の何物でもありません

組織が混乱し真面目な信徒が距離を置き
分裂している原因がご自身にもあることを指摘し
お伝えする使命があるにもかかわらず
特権階級のように組織の上に胡坐をかいている指導部は
預言者ならずともいつか鉄槌が下されるのです
それは真の母がいなくなった時に
より明確になることでしょう

サタンが共産主義運動で見せた失敗は
理想が現実化しなかったからなのです
それを小さくとも少しづつ実体化しているこの運動は
歴史的な偉業を果たしているのです

み旨は共同幻想ではないのです
今からでも真の家庭を一つにすることは可能なのです
離れている真の子女様を訪ねそれを成し遂げようとする
命がけの志士は現指導部にはいないのでしょうか