摂理観を失った統一運動 その2

経済と軍事力の強化

中国が米国の軍事力に大きな衝撃を受けたのは1991年の湾岸戦争でした
デジタル化された兵器の使用によって短期間にイラク軍を壊滅させた米国の軍事技術は
近代戦争が兵士の数だけでないことを示したからです


その後の中国の軍事戦略は一転して米国と友好を保ちながら
従来の陸海空の人的増強だけではなく科学技術の導入による
米国型軍事国家を目指すようになったと専門家はいいます


その中国は経済発展を基盤にあらゆる政治的手段を駆使しながら
外交、文化、貿易、メディア、歴史、宗教等
ありとあらゆる戦略を擁して米国の独擅場だった先端技術の取得に奔走し
アメリカに追い付け追い越せが目標となりました


こうした中国の国家戦略に対して当時の民主党大統領だった
クリントン氏やオバマ氏はその意図を明確に察知することが出来なかったのか
「戦略的忍耐」と言うだけで中国との融和政策を展開して行きました
巨大市場を国内に有し安価な労働力が世界の工場となり
こうして中国は急速に経済大国への道を駆け登って行ったのです


ところがトランプ大統領の代になって中国の覇権主義の目的が
「偉大なる中華民族の復興」であり、そのイデオロギーが一党独裁の
共産主義思想であることに改めて気が付かされたのでした
これが米中貿易戦争の始まりとなったのですが
時すでに遅しとなり、中国は世界市場を席巻し経済的な足場を固め
軍事力の近代化にも成功していたのです


自由な世界貿易を推進するかのように始まった一帯一路政策が
中国の国家資本主義の仮面をかぶったプロパガンダに過ぎず
自由主義国家への挑戦であったことが明白になって来たのは最近のことです


情報戦


この中国の野望を実現するための情報戦略で有名なのが
既に世界150カ国以上、約550施設を展開している「孔子学院」だと言われます
日本では桜美林大学・立命館大学・早稲田大学など合計15校ほど開設されていますが
この孔子学院こそがプロパガンダの拠点であり先端技術などを収奪する
スパイ養成機関なのです


ポンぺオ前国務長官は「中国共産党による世界規模の浸透工作のプロパガンダ機関」
と名指しで孔子学院を指摘し、スパイ行為として領事館の閉鎖や関係者の
国外追放をしたのは昨年のことです


孔子学院の使命は中国の政策に対するイメージの良化を図ること
中国に不利になる意見に対しては徹底した是正をおこなうこと
知識階級に対する金銭を伴った支援や親中派の政治家及び
学識者のネットワークを構築することなど文化人を通じた中国の浸透工作機関なのです


暴力革命から一転して文化による浸透は
共産主義の新たな革命戦術だと言われるのは
既にフェミニズム運動やジェンダーフリー、男女別姓の推進などを通して
世界中に浸透しています
このブログ村では善きサマリア人さんの記事のなかで
文化的マルクス主義の勃興」と題して警鐘を鳴らしています


国家の安全保障にかかわるスパイ問題として摘発できる欧米はまだしも
情けないことに日本にはスパイ防止法もまた国防意識も希薄なので
中国の文化侵略はマスコミの中枢に既にしっかりと根付いています


日本のマスコミは大手の朝日、毎日、NHK、共同通信等を通して
国民の中に親中派を生み偏向報道を繰り返しながら
中国擁護の雰囲気を醸成し報道の中立性を微妙に歪め初めているのです


例えば沖縄の基地問題に対しても
強硬な反米活動をしても尖閣への執拗な領海侵犯に対しては
沈黙を保つ姿勢にあからさまに現れています


また先ごろの日本学術会議の人事問題で政府が批判されましたが
彼等は大学が先端技術を軍事研究に応用するのはもってのほかだと
耳障りの言い発言をしてしきりに平和主義を唱えますが
国の予算を使った先端技術研究の成果は何と中国には平気で
提示するというのですから話になりません


こうした共産主義の牙を隠した本性が表面に出てきたのが
昨年の香港での民主化運動への弾圧です
国家のイデオロギーに反するものは絶対に許さないと言う
共産党の独善性は古くはチベットへの軍事介入でも知られていましたが
経済的利益を追求する各国は少数民族の苦痛には長い間目をつぶっていたのです


ところが香港の民主化問題を契機として新たにウイグル族への残虐な行為が
米国でジェノサイド(民間大量虐殺)として認定されると
漸く自由主義諸国も真剣に非難を始めるようになりました


英国のBBCがこの実態を報道すると直ちに中国政府はBBCを国外追放とし
中国の王毅外相は「ジェノサイドはデマだ」と反発し
対外的には何もなかったかのように虚偽の報道を流すのです
また香港の民主化運動家に対しては徹底した排除を実行し
「完全に合憲・合法で正当で理に適っている」と開き直っているのです


既に英国やオーストラリアではこうした中国の一方的な処置に対抗して
中国国営放送のニュースを停止していますが
日本のマスコミや大手の新聞報道ではジェノサイドという
人間の生死にかかわる深刻な人権問題が起きているにも拘らず
まともに取り上げる局すらありません
其ればかりかテレビの報道番組では政治家の失言や接待疑惑が
国家を揺るがすかのよう、どうでもいいような評論家諸氏が
これでもかと言わんばかりに正義面をして滔々と述べるだけで
国会の審議では相も変わらず批判のオンパレードです


モラルを喪失したかのように見える日本のマスコミは
何が重要で何が人間の本質的問題なのかを
とうに忘れてしまったかのような振りをしているのですが
実はこの文化的マルクス主義はマスコミの中に静かに根を下ろしてしまっているのです


続く

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