摂理観を失った統一運動 その3

新たな安全保障体制


中国の先端技術は米国並みに近づいていると述べました
宇宙開発においても既に月に着陸できる高度な技術を取得し
その技術は宇宙空間における軍事衛星の破壊さえ可能となったようです
現代の軍事戦略ではサイバー空間を支配することがコンピューター化された
兵器の明暗を分けるので中国は莫大な国家予算を充ててその開発に余念がありません


この最先端技術はサイバー戦として既に米国大統領選挙等にも応用され
昨年は日本の防衛産業のNECや三菱も中国の大規模なサイバー攻撃を受けたのです
人間が戦場に出て戦った過去の歴史は今や急速に変貌し
IT技術を中心としたミサイルを始め無人機やドローン・ロボット兵器の開発等
想像もできないような高度な次元に入ってきたのです


こうした中国の軍事戦略に対抗するために
嘗てソ連の脅威に対処するために其の包囲網として作られた
NATOのような組織がいまアジアで作られようとしています


「クワッド」と呼ばれる安全保障体制が先ごろ日米豪印の間で結成されました
2019年以降、既に三回の外相会議が開かれ
今月には初めてクアッドの首脳会議が開催される予定になっています


米国のブリンケン国務長官は
「中国は安定して開かれた国際システムを著しく脅かす経済力、
外交力、軍事力、技術力を備えた唯一の国だ」とその脅威を深刻に語っています
まさに平和とは観念論ではなく現実的な脅威に対抗する為の
力の均衡を如何に構築するかが何よりも大切だと言うことでしょう


こうした中国の膨張政策は朝鮮半島の南北問題にも大きな影響を与えています
朝鮮半島は長い間、自由主義と共産主義が対峙する最前線と言われてきました
ところが不思議なことに韓国の文政権はこの中国や北朝鮮の脅威に対して
包括的な自由主義連合が構築しようとしている「クワッド」の枠組みには
参加を躊躇しているのです


今年の1月18日の記者会見で文大統領は
「金正恩委員長の非核化の意志は明確だ」と語り
北朝鮮ビラ禁止法、米韓合同軍事演習の中止など
相変わらず北朝鮮融和策を政権の柱にしています


また今年の韓国の防衛白書を読むと文政権の意図が透けて見えてきます
日本に対しては18~19年の海上自衛隊哨戒機に対する韓国艦艇からの
レーダー照射問題で「事実を誤魔化した一方的な発表」と日本を非難し
韓国に対する輸出管理厳格化に対して「未来志向的な発展に対する障害」
となっていると指摘し「今後とも日本の歴史歪曲や一方的で恣意的な措置に関しては
断固として厳しく対処する」と記しています


反面、北朝鮮に対しては従来の「北の政権と北の軍隊は我々の敵」との記述を
削除し北朝鮮に対する不要な刺激を最小限に留めています
確かに同じ民族ですから敵ではなく同族意識なのでしょう


慰安婦や戦時労働者(徴用工)問題では執拗に日本に謝罪を要求し
国際社会に対してもその声は大きくなるばかりですが
北朝鮮の国民を弾圧する人権問題に関しては
国連の北朝鮮人権委員会にも参加していないばかりか口を噤んでいるのです


統一運動の限界


韓国の統一運動も嘗ては勝共活動を中心に共産主義に対抗する砦として
大きな政治的な影響を各界に与えてきました
しかし今やそうした力は影を潜め文政権と同調しながら
話し合えば南北統一が平和裏に実現できると思っているのか
韓鶴子女史が訪北し希望前進大会を平壌で開くことを計画しているという話があります


もし大会を開くことが出来るのなら是非
「北の同胞に対する抑圧を止め直ちに解放し、彼らの自由と人権を認め、
何よりも核兵器を廃絶するべきです」と宣言してもらいたいものです


日本人信徒の物心両面の忠誠の上に築かれてきた韓国での統一運動は
確かに民族を指導してきたのでしょうが
文化的マルクス主義者の見本のような文政権を誕生させてしまった訳ですから
摂理的には失敗したのです


南北統一は韓民族の問題として彼らに任せるべき時が来たのかも知れません
もし民族の統一に日本が加担出来ることがあるとすれば
アジア全体の平和を考える「クワッド」のような同じ価値観を共有する国々と
連携を深め、韓国至上主義を超えてアジア全体の為に働くことが
自国も守り、ひいては朝鮮半島の平和につながるのではないのでしょうか


民族の統一はあくまでも民族の問題だからです


南シナ海や尖閣諸島に領海侵犯する中国の脅威が日増しに高まる中
自分の国が危機に瀕していることさえ気付かないものが
他国を支援できるはずがありません


また文化的マルクス主義者は韓半島だけではなく日本の中にもいるのです
中国の急激な台頭はまさに労働者革命を主導した
プロレタリアートから文化的知識人に移行したのです


国家資本主義の仮面をかぶる中国のマルクス主義の理論家はこう語ります
「プロレタリアートが革命の主体ではなく今我々が目標としている革命は
既存の文化(キリスト教に象徴される宗教道徳の精神性)に迎合することから
混乱した大衆に新しい信条と価値観を受け入れさせることが何よりも重要である」


‐フェミニスト運動
‐同性愛のサポート
‐宗教に対する批判
‐グローバル化の促進
‐人工中絶
‐男女別姓の促進
‐性と無意識の解放


「則ちこの闘いは家庭、氏族、民族、国家、世界を中心とする闘いとして
その範囲を広め、今日に至っては民主と共産の二つの世界が最後の闘争を
挑むと言う処にまで至っている・・・・」


外的なことに翻弄されているうちに今や国民の意識の中にまで
神側の価値観がなくなってきてしまいました


神の創造目的を成し遂げる世界的な次元での摂理は
共産思想によって内部から民主の壁が崩されようとしています


統一運動の分裂が中国や北朝鮮による
外的刷新の始まりとならないことを心から願うばかりです

×

非ログインユーザーとして返信する