命の水と旅の僧 H2O

小高い丘の頂を目指して

登り始めた旅の僧は


途中、泉のように湧き出る

冷たい水に乾きを癒された


水が喉を通り、全身に浸み入るように

感じたのは久し振りのことだった


鳥の囀りを聞き

野の草花を見ながら

旅の僧が頂に着くと


そこに一人のオモニが

遥か遠くを眺めるように

物思いに耽っていた


「どうなされたんじゃ?」


「ハイ、私には大切な息子が二人いるのですが、

その息子達は私の元を離れて、

帰って来ないのです」


「ほほう、それはまたどうしてかな?」


「ハイ、私の夫が亡くなった後、その全てを私が引き継いだのですが、

そのことが、息子達には気に入らなく、私に従おうとしないのです」


旅の僧は呟くように言った


「オモニとは美しい言葉じゃ、

母は子の成長を一身に願って

生きるものじゃ、立派に成長したなら

自分に従うようにと言うのではなく、

背後から息子達を支えてあげたら

如何なもんじゃ」


「ワシの国の母という文字は

女と言う囲いの中に点が二つ、

これは乳房を持った母が跪いて

支えている姿じゃ」


「ここに登って来る途中、

冷たい湧き水で本当に生き返った様な気分になった」


イエス様もこう言っとる


『私が与える水を飲むものは誰でも

決して渇くことがない

私が与える水はその人の内で泉となり

永遠の命に至る水が湧き出る』


「オモニ(O)と二人の息子が協力し合えば

全てが解決する命の水になるんじゃないのかのう

どうじゃ、もう一度よく話し合ったら

如何なもんじゃろうか?」


その時、オモニの心に改めて二人の息子が

目に浮かんだ、「H進達よ!」

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